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[03月19日#1] 若いチェロの宮田君に小澤征爾が伝えたいこと [脳の仕組み]

[03月19日#1] 若いチェロの宮田君に小澤征爾が伝えたいこと

先日録画して置いた小澤-宮田ツアーコンサートの密着取材番組を観た。老いと若さ。
ロストロポーヴィッチコンクールに優勝し、一躍世界の桧舞台に躍り出た若干25歳。
以前にカルテットを組んでいた時に内部分裂で解散した。その番組に感想文を書いた。

コンクールで審査員に室内楽をやっているだろうと見抜かれた。スケールが小さ過ぎ。
今回、世界的指揮者の小澤征爾との共演は彼の教育にある筈と睨んだらそれが図星だ。
年を取ると誰でも若者に文句を言いたくなる。本能がそうさせる。教育の原点なのだ。

しかし人生経験が浅い宮田君は分からない。マエストロはつい熱が入り過ぎてしまう。
長年の経験で本番に振れないかもと感じ指揮なしでやらせる。頑固な石頭が悪いのだ。
それが現実になり期待して来場した客は主催者の説明に怒る。吉田秀和が取り成した。

では老マエストロは宮田君に何を伝えたかったのか?数理的脳科学から検証を試みる。
曲はハイドンのチェロ協奏曲。地味だがハイドン特有の技巧が要求される難曲の一つ。
当然技巧は何も問題がある筈がない。しかし音楽になっていない!表現の問題なのだ!

いろいろ気持ちを込めるようアドヴァイスするが、若い彼は習う立場で悩むばかりだ。
遂には下品にやれと勧める。ここに鍵がある。宮廷音楽家のハイドンの作品への挑戦!
モーツァルトの神童を見抜き弦楽四重奏ではライバル、ハイドンセットを完成させた。

驚愕シンフォニーで居眠り貴族をびっくりさせる。息子のような神童とは友達の関係。
それをマエストロは優雅さなど微塵もない挑戦的な音楽に変貌させる。誰への挑戦か?
実は合わせるのはこれが二度目だ。巨匠の頭の中には幾つかのポイントがあるようだ。

親友ロストロポーヴィッチの名を冠したコンクールの優勝者に相応しい音楽家にする。
習う立場から脱皮し独り立ちするのだ。それには教科書的なきれいさだけでは不足だ。
一流の音楽家が身に付けるプロトコルを早く掴まえる努力が必要だ。それを伝えたい。

アメリカの空気は自由。しかし巨匠は世界の音楽を目指し絶対的な音楽の威力を知る。
先ず自由に振舞って自由を削ぎ落とす。下品に演奏して下品さを削ぎ落とす。二面性!
つまり若い演奏家の音楽性にまだ作られていない価値観の感性を教えようとしたのだ。

タグ:感動 教育 独立
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prohitskh

人の心は読めない。自分の心も読めない。脳の仕組みはそうなっているのだ。
けれども脳の仕組みが分かると、動作や行動から分かってしまうことが多い。
新しい数理的行動心理学の学問領域の展望が拓けるのだ。
by prohitskh (2012-03-20 06:26) 

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