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[05月30日#1] 前衛的音楽を悲しむ?クァトロ・ピアチェ-リを聴いて [音楽と感動]

[05月30日#1] 前衛的音楽を悲しむ?クァトロ・ピアチェ-リを聴いて

久々に期待の弦楽四重奏を聴いた。大谷康子さん率いる東京音楽大学で教える教授陣だ。
ショスタコーヴィッチの演奏で昨年11月の定期演奏会で文化庁芸術祭大賞を受賞した。
ヴィオラは勝手に我が師匠と仰ぐ百武由紀さん。愛知県芸の教授でもある。宗次ホール。

今回は異色のプログラム。フィリップ・グラスは現代アメリカの代表的作曲家と言える。
滞米中CDショップのクラシックコーナーで異様な響きの演奏がかかっていて魅かれた。
巨大な滝の水音を思わせる音の奔流が心地よく全身を包み込む印象を受けたのがグラス。

大谷さんのヴァイオリンは新たな驚きだ。適確な技術。冷徹で感情などあるのかと思う。
一寸自分の音に酔ってみせるくらいのサービスがあってもと思うが媚びなど微塵もない。
そうかといって演奏が終わると実に爽やか。速い切り替えが機械的と感じる程滑らかだ。

それぞれのメンバーがオーケストラで鍛え上げた感性の持ち主だ。互いに個性を偽れる。
だからこそのプログラムだ。客席から作曲家の新美徳英氏を舞台に招き上げる。初演だ。
彼はなんと名古屋の旭丘高校の出だ。東北大震災のニュースを観ながら作曲したと言う。

異様な怒りの表現は耳慣れないだけに聴く人にむしろ戸惑いを感じさせる。楽しくない。
そうかといって深い悲しみで共感を呼び起こすほど哲学的でもない。前衛音楽の宿命だ。
第2ヴァイオリンの斎藤真知亜氏とチェロの苅田雅治氏がいい。聴衆と新作の歌を歌う。

そして期待のショスタコーヴィッチの第11番が始まる。由紀先生のヴィオラに注目だ。
相変わらず目立たないように振舞うようで大谷さん同様すごい。没個性で音だけが走る。
他の作品と共通して禁欲的な作風を感じる。美しい協和音をちらっと出すがすぐに否定。

圧政に対する抵抗という解釈も出来る。しかし難曲だ。演奏者を苛める趣も感じさせる。
改めてプロの演奏家のすごさを感じた。楽しまないで演奏するコンサートもこなすのだ。
作曲家をいじれない音楽は異色だ。音楽が言語だと主張するのは記憶出来るからなのだ。

それが記憶できない。説明文を記憶するのは音楽ではない気がする。やはり旧い世代か。
ベートーヴェンやブラームスはどこを取っても言葉が感じられるのにと対比してしまう。

タグ:内面的表現
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